2006公開研究会 発表抄録2

株式会社脳の学校

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 ◆第1回 公開研究発表会 発表抄録集2

今年度は総合テーマ「脳と生活」として、様々な角度からご発表がありました。

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 ●総合テーマに関する加藤医師のご挨拶
 ●プログラム
 ●ご発表抄録<1日目>
 ●ご発表抄録<2日目>

   

抄録集<2日目>

10:05~10:15 総合テーマ「脳と生活」 第1日目の総括 加藤俊徳 (脳の学校代表)
     

10:15-11:05 基調講演 「脳と生活」

『酸素脳』機能イメージング法COE―酸素の使い方が脳を伸ばす―

               加藤俊徳 (株式会社脳の学校代表取締役 医師・医学博士)

COEの原理は、近赤外光を大脳皮質表面に照射・検出することで、毛細血管内のヘモグロビン動態を介して、神経活動に直接関連する酸素の動きを検出する技術から成り立っています。これまでNIRS(近赤外線分光法)は、赤血球のヘモグロビンを観察していました。しかし、COEは、NIRSを用いて酸素の動きを検出します。ヘモグロビンは10のマイナス6乗の大きさで、酸素分子は10のマイナス10乗です。ナノ分子より一桁小さい大きさです。ヘモグロビンは、血管があればどこでも流れていきます。しかし、酸素は、毛細血管内でのみ細胞に酸素を渡して減少します。これをCOEは観察することに成功しました。従来の脳機能イメージング(PET, fMRI, NIRS)は、すべて脳血流(CBF)の強い影響を検出していました。そのため、血液の運搬を行うだけで神経活動を直接反映しない静脈信号の下水道効果を反映し、機能誤診となるアーチファクトとなっていました。この脳科学が克服できなかった脳血流アーチファクトを除く唯一の方法を完成しました。最新のCOE検査結果は、「酸素の使い方が脳を伸ばす」ことを明らかにしています。

 

11:10-12:10 テーマ 「生活の中の“アンチエイジング”」

「抗加齢医学からみた長寿の方法」

          遠藤 明(医療法人社団 えんどう桔梗こどもクリニック院長 医学博士)

日本人の死亡原因は、がんと動脈硬化による疾患(心筋梗塞、脳梗塞)が大部分を占めます。健康寿命を長くすることはいろいろな意味で重要です。私たち個人にとっては自分のしたいことのできる自由で創造的な時間が増え、家族に介護の苦労をかける時間が減ります。私たち日本人が健康寿命を長く保つためにはタバコの煙を避け、肥満にならない生活を維持することが重要です。そのような生活を実現するために食事、運動、睡眠、メンタルコンディショニングの4つの方法をマスタ-することが必要です。それぞれの方法について具体的な例を上げて述べたいと思います。

13:00-14:20 テーマ 「生活の中の“認知障害”」

「脳の損傷によって起こるさまざまな高次脳機能障害について」

      高山吉弘(東京大学大学院医学系研究科音声・言語医学分野助教授 医学博士)

脳は人が外の世界の色々な出来事を認知するため重要な役割を果たしています。また、脳は外に向かい色々な働きかけをします。たとえば自分の考えを述べたりすることです。このような働きは高次脳機能と呼ばれています。人が脳の損傷を受ける時、さまざまな高次脳機能も障害を受けます。ある人は目で見たことをうまく理解できなくなります。ある人は言葉をうまくあやつれなくなります。ある人は動作をうまくできなくなります。このような障害を引き起こすのは、ある脳の特定の部分が損傷を受けるからです。この損傷のパターンを理解することで、失語症・失認症・認知症などの色々な病気の姿を理解することができるようになります。今回の講演では、これらの症状の理解を図り、脳の役割を解き明かそうと思います。

 

14:30-15:10 テーマ 「生活の中の脳機能計測」

「光脳計測は脳機能の何を見ているか?-脳卒中前段階の計測から-」

                 秋山 武紀(脳血管研究所付属美原記念病院 脳神経外科)

脳機能計測法には大別して神経の電気活動を計測する手法と脳血流を計測する手法の2種類がある。神経の電気活動を計測する場合にはそれが神経活動であることを直接示しているが、脳血流で神経機能を判断する場合には、この手法が「同じ神経の活動に伴う酸素消費およびその後の2次的局所血流増加はあらゆるヒトでほぼ同一である」という仮定の下に成り立っているという点に留意が必要である。本発表では経頭蓋磁気刺激や脳磁図など電気生理学的手法が脳血流計測法の一種である光計測法とどのように関連づけられるかについての基礎的な検討に加え、大脳皮質の酸素代謝、血管反応に異常をきたしはじめている脳卒中前段階の脳における光計測の結果を呈示する。それらを通じて、いわゆる「脳卒中予備軍」の脳では何が起きているのかについて考察を進めていく。

 

15:10-16:00 テーマ 「生活の中のことば」

「MEG測定による音声処理過程」

                窪田三喜夫 (成城大学英文学科教授 学術博士(言語情報科学))

同じ音を連続して聞いている時に急にそれとは異なる音が現れると、脳は、その音声変化に気づき、大きな脳反応を示す。この現象は、ミスマッチ成分と呼ばれる。本発表では、脳磁計(MEG)を用いた日本語母音持続時間に関する音響的ミスマッチ反応の最新研究成果を紹介する。
[結果1] (a) 一音節単語実験では、母音持続時間の伸長化より短縮化において、また、平板  調化より下降調化において、両半球で大きな脳磁場反応が見られた。(b) 短縮化では音変化の開始時点から100ミリ秒で、下降化では200ミリ秒で、ミスマッチ成分が波形の頂点を示した。
[結果2] 一音節単語実験の短縮化では、32%以上の持続時間短縮の場合に、最も大きなミスマッチ成分が現れた。
[結果3] 二音節単語実験では、180%→100%の短縮化と100%→180%の伸長化の両方で音響的ミスマッチ成分が検出された。単語と同じ音響パラメータを用いたトーン実験では、短縮化の場合のみ、ミスマッチ成分が生じた。

 

「語彙習得における大脳半球の賦活化の検討」

                   畦上 恭彦(国際医療福祉大学言語聴覚学科)

発達障害児の言語習得能力の問題を大脳半球の賦活化の動態を観察し、語彙習得能力について検討することを目的とし、大学生男性を対象に予備実験を行った結果を報告する。
 方法 (1)対象:右手利き大学生1名 (2)測定機器:光脳計測装置 (ETG-4000)。(3)課題:(a) 単語理解課題。ディスプレイ上に、物品の写真(既習物)を左右に提示し、検査者の刺激語により選択。(b) Fast Mapping課題(FM課題)。ディスプレイ上に、新奇物と既習物写真(既習語)を左右に提示し、検査者の刺激語(新奇語)により選択させた。
 結果 理解課題においては、左前頭前野においてオキシヘモグロビンの増加を認めた。デオキシヘモグロビンについては、増加は認められなかった。一方FM課題においては、デオキシヘモグロビンが増加した後にオキシヘモグロビンが増加すると特徴が認められた。

 

16:10~16:50 テーマ 「光脳機能計測と工学」

「光脳機能計測を用いた和文・英文タイピング時の差異の検出」

                          辰巳奈央(慶應義塾大学環境情報学部)

IT技術の普及で、一部の技術者向けだったパソコンは、年代やバックグラウンドに関わらず広く使用されるようになった。それに伴い入力デバイスであるキーボードに触れる機会も増えてきている。我々はタイピング入力時の脳反応を調べ解析することで人間工学的な応用が期待できないかと考えている。そこで今回は被験者に和文を聴取させ、聞こえた通りにタイピングさせる課題を行った。次に同じ被験者に対し同様の実験条件で刺激文を英文にした場合に反応がどう変化するのかを調べた。上記の課題について刺激文聴取中とタイピング遂行中、および和文と英文の差異について解析を進めている。当日は言語野の応答について特徴的な事例を報告する。 

近赤外分光法(NIRS)を用いた脳酸素交換現象(COE)の時空間解析

                    大山和則(慶應義塾大学大学院理工学研究科)

                    加藤俊徳(株式会社脳の学校)

NIRSは他の非侵襲脳機能計測法と異なり,測定可能なパラメータが二種類(酸化ヘモグロビン,脱酸化ヘモグロビン)ありますが,NIRSのデータ解析では、酸化ヘモグロビン又は総ヘモグロビンの一種類のパラメータで独立して解析されてきました。そこで本研究では,酸化ヘモグロビンと脱酸化ヘモグロビンを同時に解析することで脳の酸素交換活動を時空間的により詳細に分析しました.酸素交換活動の時空間分析には工学分野におけるモード解析手法である正規直交化分解(POD)を用いました.その結果,従来まで脳血流の指標として用いられていた酸化ヘモグロビン又は総ヘモグロビンによる分析では知り得なかった酸素消費する部位(FORCE効果)と未使用の血液が素通りする部位(Watering-the-garden効果)の時空間的情報を抽出することに成功しました. 

 

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