2006公開研究会 発表抄録1

株式会社脳の学校

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 ◆第1回 公開研究発表会 発表抄録集1

今年度は総合テーマ「脳と生活」として、様々な角度からご発表がありました。

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 ●総合テーマに関する加藤医師のご挨拶
 ●プログラム
 ●ご発表抄録<1日目>
 ●ご発表抄録<2日目>

  

   抄録集<1日目>

 

10:15-10:25 第1回 脳の学校 公開研究発表会

            総合テーマ「脳と生活」に関する挨拶 (代表 加藤俊徳)

    
10:30-12:10 テーマ 「生活の中の脳教育シンポジウム」

  「社会生活における広汎性発達障害-その診断と支援の重要さ-」

             村越晶子 (小児科医師 NPO法人自殺対策支援センターライフリンク)

広汎性発達障害(PDD)は、コミュニケーション障害と知的障害が混在した社会性障害を中心とする発達障害である。臨床所見による診断基準や従来のMRI脳画像読影からでは、PDDの正確な診断や病態把握が困難である。PDDの診断が正しく為されず、その病態が周囲に理解されない場合には、学校や職場などの社会生活において社会事例に示すように、対人関係などで非常な困難に直面する。しかし現在PDDは、加藤俊徳医師(脳の学校代表)の脳画像特殊鑑定による長年の研究結果から、95%以上の確率で「海馬回旋遅滞症」分類による正確な診断が可能となってきた。更には脳画像特殊鑑定による脳病態の詳細な把握により、各個人に適した継続的教育支援も可能となっている。この脳画像特殊鑑定の社会的普及は、PDD児者の社会生活の向上に、今後非常に重要であると思われる。

  「生活の中の脳リハビリテーション」 

       谷口敬道 (国際医療福祉大学保健学部 作業療法科 助教授 工学博士)

本研究会の総合テーマは「生活と脳」である。本テーマに沿いながら2つの報告を行う。
 1つ目は普段行っている日常生活活動において、私たちは「頭」を使って生活していることを改めて提案し意識化したい。最近、高齢者を対象としたゲームやワークブックなどが市販され様々な脳のトレーニング方法が紹介されているが、果たしてそれらの活動は私たちの生活を豊かにしているのだろうか。私たちが活動を実施する際には動機が必要であり、一時的にトレーニングできたとしても数ヶ月、年単位で一定の意欲を持ち続けて特定の活動を実施していくことは困難といえる。日常生活における諸動作は生きている限り続けている活動であり、生活していることがまさに脳を鍛えていることになっていることについて報告する。
 2つ目は、生まれたときから重度の脳障害をもつ子どもの生活場面における刺激とその応答に関する研究の成果より子どもが育つ環境の重要性について報告する。

  「言葉を学ぶと脳で何が起こる?」 

          吉野加容子 (慶応義塾大学大学院 後期博士課程 政策・メディア研究科)

2001年、脳酸素交換機能マッピング(COE:Cerebral functional mapping of Oxygen Exchange) という、脳の酸素の動きを見る脳計測の定量技術が完成した(加藤、2006)。COEは、個人の内的な知的活動を客観的に検出できる信頼性の高い検査法であることが他の脳機能計測法と異なる大きな特徴である。今回、学習効果を客観的に評価する方法として、特に語彙の理解や学習による脳の酸素利用の変化を捉えることに成功した。この結果は、脳機能計測指標としてのCBF(脳血流)の限界とCOE(脳酸素交換)の有効性を示すものであった。この技術を用いることで、1単語の精度で客観的に学習を評価でき、行動情報に依存して評価してきた学習効果を、即時的に脳反応として検出できることが明らかとなった。発表では、特別支援教育に応用した事例も含めて報告する。

  指定発言 「脳から教育・学習をみる方法について」

         加藤俊徳 (株式会社脳の学校代表取締役 医師・医学博士)

脳に関する知識は、従来脳が病気であるか、否かを診断し治療するために蓄積されてきました。この目的を果たすために、医学では、脳の形を見る解剖学、生体物質を扱う生化学、生体反応の挙動を扱う生理学を発展させ、医学教育の現場はこの3つの柱にして教育されています。
 一方、健康な脳を扱う分野は未成熟でした。このために、脳と教育をしっかりとした学問によって結びつけるためには、健康な脳を区別する技術と学問を発展させる必要がありました。すなわち、脳と教育は、いきなり結びつくことはできなかったのです。現在の脳科学と教育の現状や、世間一般に出回っている「脳に利く」とされている教育方法について説明いたします。英語・国語の学習方法として、音読が良いとしばしば説明されています。音読をすると脳が活性化される話を最近よく耳にしますが、脳科学的な裏づけについて、どのように理論付けできるのでしょう?
 脳の何のために「音読のススメ」「黙読のススメ」をするのか?音読・黙読のススメ の有無について説明いたします。

13:10-14:00 テーマ 「生活の中の“睡眠”」

  「乳幼児の睡眠環境・睡眠覚醒行動と睡眠の問題」

          福水道郎(都立東部療育センター小児科 医学博士)          

          Marie J. Hayes(Department of Psychology,University of Maine)

発達早期に成熟する脳幹・中脳にあるアミン神経系は環境に左右される系であり、睡眠・覚醒機構の発達と障害に深く関っている。睡眠覚醒の発達には呼吸、睡眠段階、睡眠周期や生体リズム等の発達がある。これらに加え、覚醒から睡眠へスムーズに移行する能力や、年齢相当の睡眠時間を中途覚醒せずに朝まで維持する能力の発達もある。後二者は特に多様な因子からなる睡眠環境に強く影響されるものであり、乳幼児期に多い睡眠の問題に最も深く関わっていると考えられている。  今回は日本の特徴的な乳児期早期の睡眠環境を代表的な睡眠障害である乳児突然死症候群と絡めてお話した後、乳幼児期の睡眠の問題につながる睡眠覚醒行動、睡眠環境の関連についてお話する。乳児期の睡眠環境や睡眠覚醒行動から、乳幼児期~成人期までの睡眠のさまざまな問題が予測される可能性もあり、アミン神経系の良好な成熟のためにもよりよい睡眠環境づくりが望まれる。

      

14:05-14:30 テーマ 「生活の中の“酸素脳トレーニング”」

  「歯磨きから始める脳番地の訓練」

               加藤俊徳(株式会社脳の学校 代表取締役 医師・医学博士)   

毎日、歯ブラシで歯を磨いていますか?この毎日行う歯磨きは、幼い頃、すぐには誰も上手にできません。でも、毎日磨いていると上手にできるようになります。こんな単純な動作でも、脳から考えるとスッキリします。脳には番地があり、この手で歯ブラシを持ってごしごし歯を磨くことで、「脳番地の中の4番地」を毎日、訓練しています。このように、歯磨き一つとっても、脳番地を訓練していることになります。脳の4番地の中で、手の脳番地と口の脳番地は、およそ2センチメートルも離れています。手と口の脳番地を一緒に上手に使う歯磨きは、楽しい脳番地訓練法なのです。まだまだ、脳から健康と生活を考えるといろいろ楽しくなります。
#脳番地(加藤俊徳:商標登録出願中)

 

14:40-15:20 テーマ 「酸素脳トレーニングとしての育脳水泳」

  「脳と水泳と教育」

                湯沢 義隆 (スイムサークル 「アクティブ」代表)     

30年程、水泳指導、スポーツ施設の開発、運営、管理を行ってきました。0歳児から、成人までの水泳指導の中で、独自の一貫した水泳指導システムを確立しました。指導した選手の中には、オリンピックや、全国大会に参加した者も多く居ます。今回は、主に6歳以下の未就学児の水泳指導について、実話を基に、脳と水泳と教育について話をします。
一クラブの中で、6歳以下の未就学児100名以上をクロール・背泳ぎ50メートル完泳という実績を残し、又、4歳児に個人メドレー100メートルを(バタフライ・背泳ぎ・平泳ぎ・クロール)完泳させるというシステム確立の中には脳と酸素消費というバランスを考慮した指導がありました。加藤氏の脳に対する考え方に接し、より確信を得るにいたりました。

 

15;30~15:50 テーマ 「歯科治療と脳科学」

  「入歯治療の良し悪しは脳機能計測から知ることができるか」

      笠原 紳 (東北大学病院(歯科)咬合修復科講師・医療情報室副室長 歯学博士)

歯科治療,特に私が専門とする歯科補綴(しかほてつ)は,失った歯をブリッジや入れ歯(義歯)を用いて,歯の機能(食べる,話す,飲み込む)だけでなく,審美性すなわち見た目も回復する,リハビリテーションも一分野といえます.
義歯使用による痛み等の不具合は患者さんだけが感じるものであり,歯科医師がそれを正確に把握することはきわめて困難です.
そこで患者さんは,いや歯科医師でさえ「入れ歯はそのうちに慣れるもの,馴染むもの.入れ歯で痛いのは当たり前」等々入れ歯に対する諦めが常識になっています.入れ歯の不具合の位置やその程度を定量的に知ることが出来れば,義歯治療の指針を示し,義歯で困っている患者さんの苦痛を少なくする可能性があります.これまで咬合の力学等を考慮した義歯治療によって,良好な臨床的成果を得ていましたが,今回義歯治療時と同時に脳機能COEを行ない,治療方法の妥当性を確認することができました.

 

15:50~16:10 テーマ 「香りと脳アロマ®効果」

  「精神科におけるアロマ回想法」

               山下真理 岩瀬友哉 太田耕平 (耕仁会札幌太田病院)     

アロマ回想法とは、精油の香りを、目を閉じて“聴きながら”頭に浮かんだ事を自由に話してもらい、カウンセリング形式で潜在意識を引き出し、脳のリフレッシュを図るメソッドである。嗅粘膜からの匂い刺激は受容体を活性化しGタンパクを介してNa+の流入による電位差を生じる。このシグナルが匂いを脳に伝達する。嗅覚神経はかつて嗅脳といわれていた大脳辺縁系において、記憶、情動を司る海馬、扁桃体と隣接しており、香りの刺激により埋もれていた記憶、感情を回想することが可能と思われる。アロマ回想法では、子供時代の記憶を蘇らせることが多く、親子関係などの意外な側面などを引き出すことによってうつ状態などの原因の本質を見極めるのに役立つことが出来る。ここでは育児ノイローゼの症例を紹介する。植物の恵みである精油と心の関わりを脳の働きを通して検証していきたい。

16:20~17:00 テーマ 「看護が支える心身の健康」

  「救命救急センターで意識障害患者に家族が「触れる」こと」

                      田中晶子 (昭和大学保健医療学部 看護学科)

救命救急センターに搬送された患者は、緊急処置を終えるとすぐに家族と再会する。殆どの家族は、変わり果てた患者の様子に動揺し言葉を失う。そして患者の足元に立ちすくんでいる。このような状況の中で看護師は家族に「声をかけてください」と促すことが多い。しかし家族は、戸惑った表情で患者の身体に触れはじめる。家族は、救命救急センターに入院した意識障害患者の身体に触れている時、何を感じ考えているのかを明らかにすることを目的とした。対象者は意識障害患者とその家族3名で、参加観察とインタビューデータを時間軸にそって分析した。その結果家族は、患者に触れた時皮膚温を感じとり、そこから今の病状を実感し、回復を願い、苦痛を取り除きたいと感じ触れていた。また確かな反応を得るために、家族の価値観や経験を基にその時々の患者の状況に合わせた触れ方を考えていた。家族は、触覚を通して患者との交流を持とうとしていた。

  健康生成に関する研究-タッチ刺激時の脳波とSense of Coherenceとの関連-

                      本江朝美 (昭和大学保健医療学部 看護学科)

【目的】ケアリングにおいて、知覚することを通しての相互的経験は、健康生成を促す有益な方法と考えられる。本研究では、まずタッチ刺激時の脳波上の変化と健康生成力といわれているSense of Coherence(SOC)との関係を明らかにすることを目的とした。
【対象】健康成人女性15名(25.33±6.38歳)。
【方法】実験手順は各ステージ4分ずつの「安静」-「作業(パソコン操作)」-「安静」-「作業」-「安静+タッチ(背部肩甲骨中央下)」 -「安静」とした。測定指標は、F3、C3、P3、O1連続脳波(単極誘導)、SOC尺度13項目、状態-特定不安尺度(STAI)、気分(100点法)とし、各指標の変化率をSOCの高低群別に比較した。
【結果】脳波α波の%Powerは、作業から安静またはタッチで増加し、その間の変化率は、P3、O1で安静のみの時よりもタッチを加えた時の方が有意に大きかった。なおSOC高群におけるα波の変化率も、安静のみの時よりもタッチを加えた時の方が有意に大きかった。SOC低群ではこれらの傾向を認めなかった。

  

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